仕事が終わったはずなのに
頭の中は真っ白。
ただ時間だけが
静かに流れていく。
落ち着かない気持ち。
そわそわ、ざわざわ、
小さな不安がふくらんでいく。
──明日のあの仕事、どうしよう。
気づけば、
せっかくのお休みも
心の中ではずっと仕事と向き合ったまま。
そんな日、ありませんか?
慣れない仕事に向き合う新入社員さん。
子育てに奮闘するお母さん。
体調や年齢と向き合うご年配の方。
ふと周りを見渡すと、
たくさんの人たちが
それぞれの不安を胸に
今日という日を生きています。
そんな頑張るあなたに。
ほんの少し、心をほどく時間を。
誰でもできるリラクセーションテクニックを
まとめました。
あなた自身を大切にする時間を
取り戻していきましょう!
リラクセーションとは?
リラクセーションとは、
心や体にたまった緊張やストレスを、そっとゆるめてあげる認知行動療法の一つの方法のこと。
不安や緊張が強いとき、
私たちの体は知らないうちに
呼吸が浅くなったり、
肩や背中に力が入っていたりします。
そんなふうに無意識にギュッとこわばったものを、
ふわっとほどいてあげるのがリラクセーションです。
注意しておきたいのは、
「不安や緊張を完全に消そう」と思わないこと。
でも、走り続ける中で
パーキングエリアに立ち寄って、
コーヒーブレイクをすることはできます。
ちょっと一息つけば走行プランを練り直す心のゆとりができますね!
リラクセーションも、
そんなふうに、
「小さな休憩」として使ってみてください。
無理にリラックスしようとしなくて大丈夫です。
「ちょっと肩の力を抜いてみようかな」
そんなふうに、
自分にやさしく声をかけてあげることが
何より大事です。
①漸進的筋弛緩法(Progressive Muscle Relaxation;PMR)
漸進的筋弛緩法(ぜんしんてききんしかんほう)とは、
意識的に筋肉を一度緊張させ、そのあと脱力することを繰り返すことで、
心と体をリラックスさせていく方法です。
1930年代にアメリカのエドモンド・ジェイコブソン博士によって考案され、
不安や緊張の緩和、ストレスマネジメントに効果があるとされています。
どんなことをするの?
各部位に順番に、10秒ほど力を入れて緊張させたあと、15〜20秒かけて脱力します。
この「緊張 → 脱力」を繰り返していくうちに、
「知らないうちに、こんなところに力が入ってたんだ!」
と、自分の体に気づけるようになることが目標です。
無理に「リラックスしなきゃ」と頑張る必要はありません。
自然な流れの中で、心と体をふっとゆるめていくことがポイントです。
イメージとしては、
ドラゴンボールで「ハァァ……!」と気を溜めたあと、
スッと力を抜いて通常の状態に戻る、
──そんな感じに近いかもしれません。

漸進的筋弛緩法の流れ
基本的な手順はこうです。
- 緊張させたい筋肉の部位を意識する
- 約10秒間、その部位にギュッと力を入れる
- そのあと、ゆっくりと力を抜き、15〜20秒間脱力する
- これを体の各部位ごとに繰り返していく
たとえば──
- 手のひらをぎゅっと握って10秒間緊張し、その後パッと広げて脱力
- 肩をすくめて10秒間力を入れ、ストンと落として脱力
- 顔をぐっとしかめて10秒間緊張し、そのあと表情をやわらげる
といった形で進めます。
実際のやり方
1. 手・腕
- 両手を前に伸ばし、膝の上に手のひらを上向きに置きます。
- 手をギュッと握りしめ、10秒間力を入れます。
- その後、手を開いて膝の上に置き、15〜20秒間脱力します。
→ 手や腕の力がふわっと抜ける感覚を意識しましょう。
2. 上腕(二の腕)
- 握った拳を肩に近づけ、肘を曲げた状態で
上腕全体に力を入れ、10秒間緊張させます。 - その後、ゆっくり力を抜き、15〜20秒間脱力します。
3. 背中(肩甲骨まわり)
- 肘を曲げたまま、腕を外側に開き、
肩甲骨を背中でギュッと引き寄せるように10秒間力を入れます。 - そして脱力し、15〜20秒間リラックスします。
4. 肩・首
- 両肩をすくめるように持ち上げ、首をすぼめながら
肩に力を入れ、10秒間緊張させます。 - その後、肩をストンと落として脱力します。
5. 首(左右ひねり)
- 首を右にひねりながら、10秒間力を入れます。
- 戻したら、次に左も同様に行います。
- それぞれの後に力を抜いて脱力します。
6. 顔
- 首をすぼめ、顔の筋肉を顔の中心にぎゅっと集めるように力を入れ、
10秒間緊張させます。 - その後、顔全体をゆるめて、15〜20秒間脱力します。
7. お腹
- 両手を腹部に当て、手を押し返すようにお腹に10秒間力を入れます。
- 力を抜いて、15〜20秒間リラックスしましょう。
8. 足
- 足の指先までピンと伸ばし、ふくらはぎなど下肢の筋肉を
10秒間しっかり緊張させます。 - その後、力を抜いて15〜20秒間リラックスします。
9. 全身
- これまで動かしたすべての筋肉を一度に10秒間緊張させます。
- そしてゆっくり脱力し、15〜20秒間リラックスします。
全身がふわっと緩んでいく感覚を、じっくり味わいましょう。
最後に:消去動作(クールダウン)
練習後は、体を通常の状態に戻す動作を行います。
- 両手でグーパー(握る・開く)を2回
- グーパーしながら腕を軽く曲げ伸ばしを2回
- 最後に大きく伸びをして、全身をリラックス
これで終了です。
どうですか?なんだか少し「ほどけた」感じがありませんか。
回数は、各部位1〜2回でOK
最初の1〜2週間は1日1回程度練習をしてみてください。
熟練度が上がってくると、筋肉を緊張させずにリラックスできるようになってきます。
②呼吸法
ストレス下で不安や心配が強いとき、
私たちの呼吸は浅く、速くなりがちです。
呼吸法は、そんな乱れた呼吸に意識を向け、
呼吸を深く、ゆったりとしたペースに整えることで、リラックス効果をもたらす方法です。
呼吸器疾患や循環器疾患があるなど、ゆっくりとした呼吸が難しい場合は無理のない範囲で行いましょう

① 姿勢を整える
- 背筋をまっすぐに伸ばします。
- 椅子に浅く腰掛けるか、床に仰向けで寝る姿勢をとります。
② 手を当て、意識を集中する
- 目を閉じます。
- へその下あたり(丹田)に手を当てて、
お腹の動きに意識を集中します。
③ ゆっくり息を吸う
- 鼻から、ゆっくりと息を吸い込みます。
- このとき、頭の中で**「1、2、3、4」と数えながら**吸いましょう。
④ 息を止める
- 吸いきったら、「5」で息を止めます。
- お腹がしっかり膨らんでいるのを感じます。
⑤ ゆっくり息を吐く
- 次に、口から息を吐き出します。
- 頭の中で**「6、7、8、9、10」と数えながら**、ゆっくり吐きましょう。
- 息を吐きながら、お腹がしぼんでいく感覚を感じ取ります。
⑥ このサイクルを繰り返す
- 上の「吸う→止める→吐く」の流れを、
2分〜5分程度、自分がリラックスできたと感じるまで繰り返します。
③イメージ技法:心にリラックスできる風景を描く
最後にご紹介するのは、「イメージ技法」です。
これは、自分がリラックスできる映像を心の中に思い浮かべることで、
思考や気分を整え、緊張や不安をやわらげる方法です。
イメージを活用することで、
心身の状態を自分自身でコントロールする感覚(自己コントロール感)を高めることができます。

イメージ技法のやり方
① 楽な姿勢をとる
椅子に座るか、仰向けに寝転がり、
体に無理のない姿勢をとりましょう。
② 数回、深呼吸をする
呼吸を整え、心を落ち着かせます。
③ リラックスできるイメージを思い浮かべる
どんなイメージでも構いませんが、
視覚的に鮮明に思い浮かべられるものがおすすめです。
たとえば──
- 海が見える露天風呂に浸かりながら、
海のきらめきや、遠くに浮かぶ船、
すがすがしい海風、お風呂上がりのコーヒー牛乳の味わいを感じる。 - 草原に寝転び、青空をぼんやり眺める。
草の青々とした香りを鼻いっぱいに吸い込む。 - 浜辺で波の音を聞きながら、
やさしい風に包まれている自分を想像する。
こんなふうに、五感(視覚・聴覚・嗅覚・触覚・味覚)を使って
できるだけリアルにイメージしていきましょう。
なぜイメージが効果的なのか?
つまり、イメージすることで、
実際にその場にいるかのように心と体がリラックスモードに入っていくのです。
終了のしかた
リラックスできたら、
頭の中で「3・2・1」と静かにカウントダウンしましょう。
この「3・2・1」のカウントは、
イメージの世界から現実世界へ意識を戻すための切り替えの合図です。
夢から覚めるときのように、
ふわっと自然に日常に戻るための“着地動作”のようなものです。
そのあと、軽くストレッチをしたり、
体を伸ばして、周囲の感覚にゆっくりと意識を戻していきます。
まとめ
いかがだったでしょうか?
今回ご紹介したリラクセーション法は、
どれも特別な場所やお金をかけずに、
今いるところで気軽にできる方法ばかりです。
特に、不安や緊張を感じたとき、
あるいは忙しい仕事や家事の合間など、
心がちょっと疲れたときに、ぜひ試してみてください。
ほんの少しの時間でも、
自分をいたわる小さな習慣を持つことが、
日々を心地よく生きる力につながっていきますよ!
一度しかない人生、QOL高めていきましょう!
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