わたしたちの「こころ」の働きは「脳」と大きく関係しています。
ストレスが加わったときに私たちの「脳」にどのような変化が生じているのでしょう?
ストレスが加わった時に私たちの「脳」にどのような変化が生じるのか?
「脳科学的」に理解することは
なぜストレスに対処しておくことが大切なのか理解することに役立ちます。
この記事では
- ストレスが加わったときにどのような変化が生じるのか
- について詳しく解説しています。
1,ストレスが加わると脳にどのような変化が生じるのでしょう?
人間がストレスを感じると、HPA系(視床下部-下垂体-副腎系)が働き
副腎皮質からコルチゾールが放出されます。
このコルチゾールの濃度が高く持続されると
海馬のCA1、CA3、顆粒細胞層の神経細胞が生まれなくなりHPA系の活動亢進が遷延します。
ようするにエンジンの回転数を落とすための回路が働かなくなるわけです。
実際にうつ病の患者さんだけでなく健常者でもその傾向があることが報告されています。
参考)吉村零児ら:神経栄養因子BDNF仮説の検証.精神神経学雑誌2010
さらに副腎皮質刺激ホルモン放出因子(CRF)が過剰分泌されていると、γーアミノ酪酸(GABA)という、いわば車のブレーキ役となる神経伝達物質に影響し、セロトニン神経系の働きを抑制してしまいます。
セロトニン神経系は心を穏やかに落ち着かせる作用があるので
ストレスが強すぎると気持ちを穏やかにしづらくなる悪循環におちいることが分かります。
さらにはCRFは覚醒作用があり目がギンギンになってしまうので、不眠になり
ますますストレス解消がむずかしくなります。
つまりストレス反応が強すぎると、こころが落ち着かず、眠れなくなり、疲労が蓄積するので
ますますストレス反応が強くなるという悪循環になることが分かります。
- 強いストレスが続きすぎると、ストレスを解消することがますます難しくなる!
2,うつ病の人の脳には何が起こっているのか?
うつ病の人の脳をしらべると前頭葉機能低下がみられます。
前頭葉とは人間が行動を計画したり、複雑な思考をしたり、理性的に活動するために働く場所です。
なのでうつ病になると、頭が働かない、感情のコントロールが難しい、何事もやる気が起きない。
といった症状が現れるわけです。
また、慢性疲労症候群(CFS)の患者さんでも前頭葉の前帯状回の活動が低下していることも
あきらかになっています。
つまり不眠不休で長時間労働すると、前頭前野や前帯状回などの働きが悪くなり
ますます効率がわるくなる悪循環になります。
ときおりサービスエリアで食事やトイレ休憩を取った方が安全に目的地に行けるように
私たちの脳も頑張りすぎると、逆にパフォーマンスが落ちてしまうのですね。
- がんばりすぎると、余計に頑張れなくなる!
まとめ
いかがだったでしょうか?
私は実習で毎日2時間睡眠を2ヶ月間行っていたところ
見事にパニック発作を発症してしまいました。
以来ストレスが身体に与える影響を身をもって知ったのです。
パニック発作も前頭葉の機能低下が示唆されています。
このようにストレスが脳に影響を与えていることがわかれば
ストレスやうつ病が「気のせいだ」という人はいなくなると多います。
私は頑張ることが美徳のように考えていましたが
ほどほどに頑張ることこそ、一番「がんばっている状態」だと思えるのではないでしょうか?
一度しかない人生、QOLを高めてほどほどにいきましょう!
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