私たちの日本人で睡眠の問題を抱えている人は
およそ20〜45%に及ぶと報告されています
睡眠は免疫力やメンタルヘルスにも影響を及ぼしますから、日本人が
もっと眠ることができれば、ますます良い国になりますね
近年は優秀な睡眠薬も開発されていますが
薬によっては依存性や持ち越し効果による注意力の低下といった問題があり
また、コストの面からも
薬を使わず解決できれば、とっても素敵ですよね
この記事では
- 睡眠の問題、とりわけ不眠でお困りの方に
- 薬を使わない不眠へのアプローチ方法をお伝えしていきます
認知行動療法による不眠への対処法
その方法とは、タイトル通り
認知行動療法
と言うものです
え、何それ?と言う方に説明します
人間は物事を色眼鏡で見ています
有名なもので言うと
ここに容量が200mlのコップに半分の水が入っていたとします
「コップの水が半分しかないっ!」と解釈して怒りが沸き起こるか
「コップの水が半分もある!」と解釈して嬉しい感情が沸き起こるか
コップの水は常に100mlというのがニュートラルな状態なのですが
人間の解釈(認知)の仕方によって、感情や身体の反応が異なるのです
そしてそれに伴う行動も影響します
認知行動療法とは
物事を正しく認知して、役に立つ行動を増やしていくことで身体や感情をうまく調節しちゃおうぜ!
と言う方法論です
不眠に対しては睡眠薬に劣らない効果を持つことがわかっています
具体的な方法は下記の3点です
- 睡眠衛生教育
- 睡眠日誌
- 睡眠スケジュール法
それぞれ詳しく説明をしていきます
1、睡眠衛生教育
まずは睡眠についての正しい知識について教育を受けてもらいます
え、教育?
ってことはお勉強?
わたしサクッと眠る方法を知りたいだけなんだけど・・・
確かに、わざわざ勉強するのって時間がかかるし面倒くさいですよね
ただ勉強して得た知識は一生モノですし、これこそが認知行動療法のポイントです
なぜなら正しく認知するためには、正しい知識が不可欠だからです
正しい知識で正しく物事を認識し、正しい行動につながることで睡眠しやすい身体になるのです
1)必要な睡眠時間を理解する
1日に必要な睡眠時間は個人差があります
平均睡眠時間は6時間〜8時間と言われておりこれが基準と考えると良いでしょう
自分の睡眠時間が不足しているかチェックするポイントがあります
- 日中の眠気が強い
- 休日に普段よりも2〜3時間以上長く眠ってしまう
どちらにも当てはまらなければ睡眠時間は足りていると考えて良いと言われています
どちらかに当てはまる人は、もう少し睡眠時間を伸ばしてみる必要があります
2)睡眠のメカニズムを理解する
睡眠には2つ種類があります
- ノンレム睡眠 脳を休める睡眠 浅いノンレム睡眠と深いノンレム睡眠がある
- レム睡眠 身体を休める睡眠 筋肉が弛緩し身体が休まる 脳は記憶を固定化させる
人の睡眠はノンレム睡眠から始まって、その後レム睡眠が続きます
これを1セット(60分〜120分)の周期が一晩で数回くりかえされています
3)睡眠が健康や生活に及ぼす影響を理解する
昔から、病気は夜作られるという言葉があります
なぜかというと睡眠中にはさまざまなホルモンや免疫系が作動しているからです
なので睡眠が取れないと健康状態に影響を及ぼします
私も、実習中 平日の睡眠時間が2時間という生活を2ヶ月続けていたところ
パニック発作を起こしてしまった経験があります
睡眠の大切さを身をもって知った出来事でした
実際に睡眠不足はうつ病、高血圧、糖尿病、脳卒中、心筋梗塞、肥満のリスクを高め
ヒューマンエラーの確率を高めてしまうことが示唆されています
4)睡眠の仕組みを理解する
私たちの睡眠は主に2つの仕組みがあります
- 疲れると眠くなる仕組み
- 夜になると眠くなる仕組み
疲れると眠たくなるのは当たり前のように感じます
昼間はしっかりと起きて活動しておくことが大切です
夜眠くなるにはメラトニンというホルモンが関係しています
人間の体内時計は24時間10分程度で時を刻んているので、放っておくと地球の1日の時間とずれが出てきます
これをリセットするのが日光です
人間の目が日光を感じると、それから14〜16時間後にメラトニンが分泌され眠気を感じさせます
つまり朝にしっかりと「明るさ」を感じることが、体内時計を適切に働かせる鍵なのです
逆に寝る前の光は、蛍光灯やLEDの光でもメラトニンの分泌を阻害するのでいけません
暖色系の光や間接照明が良いと言われています
特に注意すべき点は下記の3点です
- 2500ルクス以上で15〜30分(雨の日の屋外でも5000ルクス程度あり十分だが屋内の照明では1000ルクス程度しかない)
- 朝の5時30分〜9時ごろまでに浴びるのが効果的
- 光を取り込む時間は毎日揃えた方が効果的
5)運動の効果を理解する
運動が効果があるのはみなさんご存知でしょう
睡眠に対する運動の効果は主に下記の3点です
- 運動にも体内時計を修正する働きがある
- 身体が疲れることで「疲れると眠くなる仕組み」が働く
- 体の深部体温が上昇する
深部体温が下がることが、睡眠と関係しています
寝る2〜3時間前の軽い運動が効果的です
同様に寝る2〜3時間前の入浴(39〜40度のぬるめのお湯に浸かる)も効果的です
6)寝る前のカフェインやお酒の影響を理解する
睡眠を邪魔する代表選手は、カフェイン、タバコ、アルコールです
カフェインといえばコーヒーや栄養ドリンク、コーラなど思い浮かびますが、コーラや紅茶、緑茶、烏龍茶そしてココアにも含まれます
一方カフェインが含まれていないか、少量のものは、麦茶、ハーブティー、ほうじ茶、牛乳などがあります
タバコやアルコールはリラックス効果がありそうですが、覚醒作用があるのでよくありません
7)睡眠儀式の大切さを理解する
睡眠前には、睡眠前儀式いわゆるルーティーンというものが大切です
なぜなら人間の行動は、条件反射的に制御されている部分があるからです
例えばおしっこをする場合、トイレ以外の場所ではなかなかうまくできないでしょう
これはトイレと言う場所とおしっこをすると言う動作が結びついているからです
ラグビー選手がボールを蹴る前にポーズを取るのも、特定のポーズとその後の体の動きを結びつけて覚えているので、特定のポーズを取るというルーティンを行っているのです
寝る前にリラックス効果の高い儀式を行うと
「よっしゃ、この儀式がきたっちゅうことは、寝る前やな!準備しよ!」と
身体が勝手に反応してくれるのです
入眠儀式には、音楽、アロマテラピー、漸進的筋弛緩法、呼吸法などがあります
中でも漸進的筋弛緩法の効果が高いと言われています
- 肩をすくめるように力をギューと入れます
- そしてストンと力を抜いて肩を落とします
- これを3回行います
- 同様に目をギューッと閉じてぱっと開く、手をギューッと握ってぱっと開くを加えてもOK
体の力は抜きにくいのですが、一旦ギューッと力をこめてからフッと抜くと身体がリラックスしやすいのです
睡眠日誌をつけよう
睡眠について知識を得られたら
次にどれくらい睡眠が取れているか睡眠日誌を書いてみましょう
睡眠日誌には
・寝た時間、起床時間、夜中に目が覚めた時間
・睡眠満足度
・アルコールやカフェインの摂取状況
・ストレスの状況
朝起きたときに記入します
このように記入していると、
やっぱりアルコール飲んだ時は眠れていないな・・・もう少し控えよう
この日はストレスが溜まっていたから眠れなかったのかな・・・リラックス法を取り入れよう
このように、客観的に自分を見つけ適切な習慣につながるからです
・・・・ってめんどくさい・・・・めんどくさいですよね
私のおすすめは、iPhoneのヘルスケアアプリをお勧めします
大まかな睡眠の状況を客観的に、自動で行ってくれます
このようにご自身の睡眠の状態を正しく認知することが、良い睡眠を取るためにまず大切なのです
睡眠スケジュール法
以上の部分は、ご自身の睡眠に対する認知
すなわち正しく睡眠の状態を理解していただく部分でした
次は、睡眠に対する行動を変えていく行動療法です
その具体的な方法が
睡眠スケジュール法です
睡眠スケジュール法は次の2つで構成されています
- 刺激コントロール法
- 睡眠制限法
刺激コントロール法とは、眠くなるまでベッドもしくは布団に入らないと言う方法です
ええっ?それだけ?と驚いてしまいますが、国際的な不眠症の治療ガイドラインにおいて標準的方法として位置付けられている方法なのです
眠れないと、ベッドや布団の中でスマートフォンをいじってしまったり、明日の仕事のことが頭の中をぐるぐるし始めてしまうことはありませんか
このような行動が続くと、人間の脳は ベッドや布団=緊張する場所と認識してしまいます
するとベッドや布団に入るたび条件反射的に身体や心が緊張して眠れない悪循環となります
これを断ち切るために 眠くなったときにだけベッドや布団に入るのです
そのため眠れないと思ったら、一度別の部屋に移動し、眠くなるのを待って再度布団に入る
このように刺激と行動の条件反射を変えていく方法が、刺激コントロール法です
ただし、眠る時間が変わっても起きる時間は常に一定にするようにしましょう
一方睡眠制限法とは
遅く寝て、早起きをすると言う方法です
ええっ?それじゃあ余計に昼間眠くなるじゃないか!
そう思いますよね?その通りです
早く起きることでしっかりと朝の光を浴びることができ、体内時計がリセットされます
そうすると夜にメラトニンが生成され、眠りやすくなります
前日の睡眠時間を制限していた分、眠りがグッと深くなり睡眠の質が改善されるという仕組みです
だから
眠りが浅いなと感じているときは、眠る時間を遅くしてグッと深い睡眠を取った後、早起きをして朝に光を浴びて体内時計をリセットし、そして眠くなったら夜ベッドや布団に入る
を試してみてください
お昼は眠いかもしれませんが、そこはストレッチなどで昼寝をせずにしのぎましょう
この睡眠制限法とは逆に
しっかり睡眠をとろうと早くベッドや布団に入ってしまうのは良くありません
なぜなら、前述の刺激コントロール法の仕組みが示すように、ベッドや布団の中で悶々としてしまう条件反射が習慣になってしまい、よけいに眠れなくなっていしまいますから注意です
最後に、眠れない原因には他の病気や社会的な問題によるストレスなどが隠れている場合があり
そちらへの対処の方が先決である場合があります
そのような場合は必ず医師などの専門家に相談するようにしてくださいね
いかがだったでしょうか
睡眠の質を上げて
一度しかない人生、QOLをあげて、今こと時を大切にして生きていきましょう!
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