管理職などの立場の方は部下の悩みを聞くことが多いでしょう
また、医療者であれば患者さんの悩みを聞くことはとても多いです
さらに家庭内では家族や子供の悩みを聞くことも多いかもしれません
あるいは友人の悩みを聞くこともあるでしょう
悩みを聞く機会ってかなり多いと思うのですが
意外に悩んでいる人との接し方って難しくありませんか?
実は私は、悩んでいる人との接し方が超ヘタクソでした
すぐに反射的に「アドバイス」をしたくなってしまうのです
そうすると相手の顔は曇り、心を閉ざしてしまいまいヘタをすると
「もういいです・・・」で終わり もしくは重苦しい沈黙が続くことも・・・
「え?せっかく一生懸命アドバイスしてあげているのになんで?」
「悩んでいるってことはアドバイスしてほしくないの?」
と怒りの感情さえわいてくることもしばしばありました
じゃあ、そもそも「悩みを聞く」ってどういうことなのだろう?と考えるようになりました
そこで出会ったのが認知行動療法における面接のコツです
コツを意識することで今では、聞き上手だねと言われることも増えてきました
この記事では
- 家族・部下・友人・患者さんなどの悩みがうまく聞けなくて困っている人に
- 「悩んている人との上手な接し方」のポイントについて説明します
1、「傾聴」「共感」「質問」が大切
最初に申し上げたように、私は悩んでいる人との接し方がとてもヘタクソでした
それは、悩みを聞く=解決策を教える だと考えていたからです
だって悩んでいるんだから解決してあげたいと思うじゃないですか?
しかしそうすると相手の顔がどんどん曇っていたことを思い出します
この原因は、相手へのアドバイスが「今までのあなたは間違っている」と言う否定のメッセージになっていたからです
そうすると相手は余計に心を閉ざしてしまい、信頼関係を築けていなかったのです
なので
- アドバイスよりも、まずは相手の話をしっかりと聞く姿勢(傾聴)が大切
しかし、ただ聴くだけではいけません
認知行動療法の理論的基礎を作ったアーロン・ベックは感情に焦点をあてて話を聴くことが大切だと述べています
- 「〜で辛かったですね」など、感情に焦点を当てて共感する
実際に感情に焦点を当てて共感しながら傾聴していると
「そうそう、そうやねん!それでね・・・」という反応が返ってくるはずです
このことが信頼関係を築くための大切な要素となります
しかし、聞いてばかりでは話が逸れてしまったり、長くなってしまい悩みの核心に辿り着けません
- 「〜についてさらに具体的に教えてくれますか?」と質問し探索していく
悩んでおられる方は、どういう点において悩んでいるのか十分自覚できていません
例えば「上司の怒られてばかりで私嫌われているんです」という場合、共感した上で
「嫌われているとは具体的にどういうことでしょう」
と、より具体的に状況を聞いていきます
そうすることで悩んでいる人にとっても「悩み」というあいまいなものから、より明確な「課題」へと認識が変わっていきます
ただし、質問ばかりしてはいけません
連続して3回以上は質問をすると
それは「あなたの言っていることは私はわかりません」と拒絶していることになるからです
そこで
- 〜ということだと理解したのですが、どうでしょうか?と要約して確認することが大切
例えば、
「上司から3日間声をかけてもらえていないので、とても辛い気持ちがして悩んでいると理解したのですがどうでしょう?」
私の場合は共感というもっとも大切な点を省略していたために信頼関係が作れていなかったのです
2、安心できる空間を作る
これも私の失敗談です
悩みを聞いていると、なんとなくネガティブな雰囲気が周りに広がってしまうのです
また話し声が聞こえているよと言われ、しまった!ということもありました
- 物理的・心理的に安心できる空間を作ることが大切
それから、相談を受けるときは必ず個室を準備し、最初に世間話やジョークで場をなごましてから時間に余裕を持って聞くように心がけています
3、WHAT、HOWの質問を使う
子供の頃
「どうして勉強しないの!」「どうして遊んでばかりなの!」と言われたことはありませんか?
そう言われても嫌な気持ちになって、適切な行動に繋がらなかった経験が私にもあります
このような質問は「WHY(なぜ)」の質問と言われており、相手を攻める形になるので適切ではありません
- 代わりに「WHAT(何)」や「HOW(どうやって)」の質問を使っていきましょう
例えば、
「どのようなことが起きてそのような問題になったのですか?」(WHAT)
「どうやってその問題に取り組んでいけば良いでしょう?」(HOW)
と言っても、実際に行うと混乱してしまうので
- どのようなことがあって問題が起きたのか、その問題にどのように対処するのが良いか一緒に考えていきましょう
このような協力的な気持ちで接することで自然に(WHAT,HOW)の質問になると私は考えています
4、寄り添う
私のそもそもの間違いは、悩みを聴く=アドバイスをする という認識であった点です
いわば指導者になっていたのです
そうではなく、上手に悩みを聞く方法とは「伴走者」だと考えるようになりました
今では 一緒に走りながら、一緒に考えていく そのような人をイメージしています
そうすると、使う言葉が変わってきたのが自分でもわかるのです
- 悩みを聞くときは「伴走者」をイメージする
例えば
「こうした方が良いのでこうしてください」から
「この方法はとてもいいと思うのですがどうでしょう?」
このような寄り添う姿勢が大切です
まとめ:悩んでいる人への接し方
以上、悩んでいる人への接し方のポイントについて紹介しましたがいかがだったでしょうか?
そもそも「悩み」とは、ぼんやりしていていてよくわからない精神的な苦痛 です
悩んでいる人に上手に接することで上「悩み」がはっきりした「課題」に変わります
「課題」に変われば具体的な解決策を考え、実行する「行動」に移すことができます
「行動」をすることで人は初めて成長できます
悩んでいる人への上手な接し方とは
「悩み」を「課題」に変換して成長を後押しすること
単なる精神的な苦痛である「悩み」が上手な接し方次第で「成長の種」に変わるのです
そう考えると接し方ってとても大切だと思いませんか?
具体的な課題の解決方法については別の記事で紹介していきたいと思います
たった一度しかない人生、QOLあげていきましょう!
コメント